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しかたのない蜜

しかたのない蜜

スザク×カレン 「モザイクカケラ」 3

 一ヶ月後。

 今夜もスザクとカレンは抱き合っていた。
 すでにカレンの体は男を受け入れられるようになっており、それに喜びを覚え始めていた。
 いつしかカレンは、自ら進んでスザクと快楽を分かち合うようになっていた。

「もっとあなたを感じたいの」

 そう請われるまま、スザクはためらいつつもカレンに様々なことを教える。
 実に彼女は飲み込みがよく、積極的な生徒だった。
 綿が水を吸い込むように、スザクを吸収し、おのれも惜しみなくスザクに分け与える。

 今やスザクは、二人の関係がギアスによってもたらされたものということすら
忘れかけていた。

 いや、もしカレンのギアスが解けても、彼女は自分を好いてくれると思えるのだ。

 そして今夜も、愛し愛される喜びを初めて知ったスザクはカレンと抱き合う。

 幾度か交わった後、カレンはスザクの胸の中でつぶやいた。

「私、あなたの子供が産みたいわ」

 スザクは夢心地で、そんな彼女を抱きしめていた。たっぷりと注ぎ込んだ自分がもしかして新しい生命になっているかと思うと、うれしさで胸がはちきれそうだった。

 このことで父親との確執も、忘れられるような気さえしていた。


 スザクとカレンが過ごす宮殿のそばにある噴水前で、アーニャと皇帝――シャルルは対峙していた。
 二人とも宮殿から聞こえる二人の声に耳をそばだてている。
 それは時に愛を語り、時にみだらな喘ぎになっていた。どちらも明らかに心から愛し合う恋人同士のものだった。  


 シャルルがおもむろに口を開く。

「どう思う、マリアンネ? あの二人のことを」

 アーニャ――いや、今やマリアンネに精神を乗っ取られたアーニャは冷ややかに答えた。

「別れさせた方がいいわね。最初のもくろみと違って、物事は私たちの計画に悪い方向に動いている。今のスザクもカレンも、戦士の顔をしてないわ。今の二人じゃ、戦場で人は殺せない」

「――自分はさんざん人を殺してきたのに? 私やルルーシュ、ナナリーというものがありながら」

「それはあなたも同じでしょ、シャルル?」

 二人はしばし笑い合った。
 やがて思い立ったようにシャルルがアーニャを抱き上げ、その唇にキスする。
 濃厚な口づけを終えてから、アーニャ――いや、マリアンネは結論を出した。



「明日、カレンのギアスを解きましょう」





                             つづく



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